現在の大きく変動する国際社会において、私たちは、自国の文化について深い認識を持ちながら、異なる文化についても広い理解と適応力を持つことが求められています。また、国際的なコミュニケーション能力を持って、主体的・積極的に国際社会に貢献する人材を育成することが、学校教育に課せられた極めて重大な課題となっています。このような観点から、「高校生留学」 は、単に知識を獲得するだけでなく、他国の生活・文化・歴史等への理解を深め、それを基盤にその国の人たちと協力して立ち向かえる力を培うなど、国際社会における今後の日本における意義は大きいものと考えられます。
平成20年7月に中央審議会大学分科会に報告された「『留学生30万人計画の骨子』取りまとめの考え方に基づく具体的方策の検討」においても、「高校生留学」の一層の推進が提言されています。また、国際交流政策懇談会「東アジアにおける交流に関するワーキング・グループ」が平成22年7月に取りまとめた最終報告書「東アジアにおける教育、科学技術、文化、スポーツ・青少年交流等の推進について―東アジア、そして世界の一員として活躍できる人材の育成―」においても、「高校生以下の若い世代の交流施策等の推進」が提言されています。
一方で、「高校生留学」 が制度化されて約20年が経ちましたが、高校生段階における相互交流を一層推進するためにも、留学のみならず多くの外国人高校生を受け入れていくことも期待されています。
諸外国の高等学校へ留学した多くの高校生は、異なる国や地域の人々との交流など様々な異文化体験を通じて、充実した学習成果を修め、帰国後は、留学時の貴重な経験を活かして、各方面で活躍しています。
しかし、残念ながら、留学中にトラブルや事件・事故に遭遇する事例も発生しています。また、近年では、国際情勢の緊迫や新型病原体の発生等といった事情への対応も重要となってきています。このため、「全国高校生留学・交流団体連絡協議会」(高留連)においては、高校生の海外留学が安全で有意義なものとなるよう、この 「高校生交換留学プログラム要覧」の他に、「高校生留学マニュアル」 を作成し、関係機関、高等学校等に配布しています。
また、文部科学省では、高校生の海外留学を推進するため、高留連が実施する交換留学プログラムや情報提供事業に対して支援を行っています。
高校生留学の推進のためには、生徒自身の留学したいという動機付けを増やしていくとともに、教員や保護者の方々に高校生留学の意義を理解いただき、その推進役になっていただくことが必要であると考えています。この 「高校生交換留学プログラム要覧」 が活用されることにより、高校生の留学に対する理解が深まり、より多くの生徒が留学を志し、実り多い成果が生み出されるよう願ってやみません。
平成22年9月
文部科学省初等中等教育局国際教育課長
中井 一浩 |